Document ID: SPEC-SAMADHI-01 Source: 解脱道論 巻第二 分別定品第四(梁・僧伽婆羅訳) Category: 02. Kernel Source Batch: 13 / 29 — 定の定義と基本インターフェース
目次
MODULE 1:分別定品の起動条件
| 項目 | 内容 |
|---|
| 対象者 | 浄戒の坐禅人 |
| 前提① | 已に頭陀を行ず |
| 前提② | 勝善の処の受を成就す |
| 問い | 当に何をか作すべき |
| 答え | 定を起こさしむ |
接続: 頭陀品(Batch 01〜12)で環境が整った。次に行うのは定の起動。
MODULE 2:分別定品が扱う全問い
原典冒頭で、この品で扱われる全ての問いが一括で列挙される。
| # | 問い |
|---|
| 1 | 何をか定とする |
| 2 | 何の相ぞ |
| 3 | 何の味ぞ |
| 4 | 何の起ぞ |
| 5 | 何の処ぞ |
| 6 | 何人か禅・解脱・定・正受を受くる |
| 7 | 何の差別ぞ |
| 8 | 幾の定の因、見るべし |
| 9 | 定を障うること幾の法有る |
| 10 | 幾の定の功徳ぞ |
| 11 | 定に幾の衆具ぞ |
| 12 | 幾種の定ぞ |
| 13 | 云何が定を起こす |
構造: 13の問いは、定の定義(1)→ 性質(2〜5)→ 受容主体(6)→ 分類(7)→ 起動因(8)→ 障害(9)→ 功徳(10)→ 前提条件(11)→ 種類(12)→ 実行手順(13)の順序で並ぶ。
MODULE 3:定の定義
第一定義(ウパティッサの定義)
| 原文 | 内容 |
|---|
| 「清浄の心有り」 | 心が清浄であること |
| 「一向に精進し」 | 一つの方向に精進すること |
| 「寂静の功徳と等し」 | 寂静の功徳と等しいこと |
| 「正真に住して乱れず」 | 正しく真に住して乱れないこと |
第二定義(比喩による定義)
| 原文 | 内容 |
|---|
| 「煩悩の猛風、心慮を傾くること無し」 | 煩悩という猛風が、心を傾けることがない |
| 「殿裏の灯の光焔動かざるが如し」 | 宮殿の奥にある灯火の炎が動かないようなもの |
第三定義(阿毘曇の定義)
| 原文 | 内容 |
|---|
| 「心正しく住して」 | 心が正しく住し |
| 「攀縁する所無く」 | 対象にしがみつくことがなく |
| 「亦た動乱せず」 | また動乱もせず |
| 「寂静にして著無し」 | 寂静であって執着がない |
| 「正定・定根・定力なり」 | 正定であり、定根であり、定力である |
MODULE 4:殿裏の灯
| 項目 | 内容 |
|---|
| 比喩 | 殿裏の灯(宮殿の奥にある灯火) |
| 殿裏 | 壁と屋根に囲まれた空間=外部からの風が入らない環境 |
| 灯 | 心 |
| 光焔 | 心の活動 |
| 動かざる | 心が動揺しない状態=定 |
| 猛風 | 煩悩 |
核心: 灯火そのものの質を変えるのではない。風が入らない環境を作ること。環境が整えば、灯火は自然に動かなくなる。頭陀品12バッチは、この「殿裏」を構築する作業だった。
MODULE 5:定の相・味・起・処
| 項目 | 原典用語 | 定義 |
|---|
| 相(Characteristic) | 心住 | 心が住すること |
| 味(Function) | 怨を伏す | 怨(煩悩)を伏すこと |
| 起(Manifestation) | 寂静 | 寂静であること |
| 処(Proximate Cause) | 染に於いて著せず、心、解脱を得 | 染まることに執着せず、心が解脱を得ること |
頭陀の相味起との対比
| 頭陀(一次) | 頭陀(二次) | 定 |
|---|
| 相 | 少欲 | 無著 | 心住 |
| 味 | 知足 | 無過 | 怨伏 |
| 起 | 無疑 | 不退 | 寂静 |
| 処 | ─ | ─ | 染不著・心解脱 |
注意: 定には「処」が加わっている。頭陀にはなかった四番目の項目。頭陀は環境の仕様であり「処」は不要だった。定は心の状態であり、その心がどこに至るか(処=解脱)が必要になる。
MODULE 6:三つの定義の関係
| 定義 | 性格 | 記述する対象 |
|---|
| 第一定義(ウパティッサ) | 実践的定義 | 定の状態そのもの(清浄・一向・寂静・正真) |
| 第二定義(比喩) | 比喩的定義 | 定と環境の関係(風と灯火) |
| 第三定義(阿毘曇) | 分析的定義 | 定の構成要素(正定・定根・定力) |
三つの定義は同じものを三つの角度から記述している。ウパティッサの定義は「何であるか」。比喩は「何のようか」。阿毘曇は「何で構成されているか」。
三層クロスリファレンス
| 本バッチの項目 | 大安般守意経 | Kernel 4.x(無碍解道論) |
|---|
| 「定を起こさしむ」(頭陀の後に来るもの) | MODULE 2:六事コマンド全体(数→随→止→観→還→浄) | Vol.0(インデックス):全8記事の起点 |
| 「清浄の心有り」(第一定義) | MODULE 1:守意=道・因縁・空定・無為 | Vol.3:信号サンプリング(心の浄化プロセス) |
| 「殿裏の灯」(第二定義) | MODULE 5:止の息心止=五陰へのアクセス完全遮断 | Vol.1:障害検知(風=五蓋の除去) |
| 「心正しく住して攀縁する所無く」(第三定義) | MODULE 2:止=ファイアウォール起動(ポインタの完全ロック) | Vol.4:全リソースマウント(単一マウントポイントへの固定) |
| 心住(相) | MODULE 5:鼻頭止=物理アドレスにポインタを固定 | Vol.6:Root Access(心の直接操作 Monitor) |
| 怨伏(味) | MODULE 11:止悪一法プロセス(悪を知る→意に著せざる) | Vol.1:障害検知(Nīvaraṇaの伏断) |
| 寂静(起) | MODULE 6:浄=フォーマット完了 | Vol.7:滅・捨断(寂静への到達) |
| 染不著・心解脱(処) | MODULE 12:四諦 Verify「盡を知る」=ゼロ状態確認 | Vol.8:200+の智(解脱の完全性証明) |
STATUS: Kernel Source / 実践者参照用 NOTE: 分別定品は冒頭で13の問いを列挙し、その後一つずつ回答していく。本バッチは最初の問い「何をか定とする」への回答と、相味起処の定義を扱う。「殿裏の灯」の比喩は、頭陀品全体の意味を一文で要約している——壁と屋根(=頭陀で整えた環境)があるから、灯火(=心)が動かない。
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