解脱道論 巻第十
阿羅漢優波底沙(梁に大光と言う)造 梁の扶南三蔵僧伽婆羅訳
五方便品第十一の一
是に於いて、初めの坐禅人、老死を脱せんと楽い、生死の因を除かんと楽い、無明の闇を除かんと楽い、愛の縄を断たんと楽い、聖慧を得んと楽わば、五処に於いて当に方便を起こすべし。謂わく、陰方便・入方便・界方便・因縁方便・聖諦方便なり。
問う、云何が陰方便なる。
答う、五陰なり。色陰・受陰・想陰・行陰・識陰なり。
問う、云何が色陰なる。
答う、四大と四大の所造の色となり。
云何が四大なる。地界・水界・火界・風界なり。
云何が地界なる。堅性・堅相、此れを地界と謂う。
云何が水界なる。水湿・和合の色、此れを水界と謂う。
云何が火界なる。火煖・熟する色、此れを火界と謂う。
云何が風界なる。風持の色、此れを風界と謂う。
初めの坐禅人、二行を以て諸蓋を取る。略を以て、広を以て、四大を観ずるを説くが如し。是の如く知るべし。
云何が四大の所造の色なる。眼入・耳入・鼻入・舌入・身入・色入・声入・香入・味入・女根・男根・命根・身作・口作・虚空界の色・軽色・軟色・堪受持色・増長色・相続色・生色・老色・無常・揣食・処色・眠色なり。
云何が眼入なる。是を以て色を見、有対なり。彼の眼識の起こるに依る。此れを眼入と謂う。復た次に、眼睛の肉・揣・白・黒・眼珠の三円に依る。肉・血・風・痰・唾に於いて、五重に内住す。半芥子の如く、大いさ蟣子の頭の如し。初業の所成、四大の所造、火大最も多し。此の清浄の色、眼入と謂うと為す。大徳舎利弗の所説の如し。眼識を以て清浄にして諸色を見る。或いは小、或いは微なり。牖柯の喩の如し。
云何が耳入なる。是を以て声を聞く。是に於いて声、有対なり。耳識の起こるに依る。此れを耳入と謂う。復た次に、二孔の赤毛を辺と為す。膜に依りて住すること、青豆の茎の如し。初業の所造、空大最も多し。四大の所造の清浄の色、此れを耳入と謂う。
云何が鼻入なる。是を以て香を聞く。是に於いて香、有対なり。鼻識の起こるに依る。此れを鼻入と謂う。復た次に、鼻孔の中に於いて、三和合し、細孔に依りて住す。拘毘陀羅の形の如し。初業の所造、風大最も多し。四大の所造の清浄の色、此れを鼻入と謂う。
云何が舌入なる。是を以て味を知る。是に於いて味、有対なり。舌識の起こるに依る。此れを舌入と謂う。復た次に、舌の肉の上に於いて、両指の大いさに住す。鬱波羅花の形の如し。初業の所造、水大最も多し。四大の所造の清浄の色、此れを舌入と謂う。
云何が身入なる。是を以て触を覚す。是に於いて触、有対なり。身識の起こるに依る。此れを身入と謂う。復た次に、毛・髪・爪・歯を除き、余の受けざる所、一切の受身に於いて、初業の所造、地大最も多し。四大の所造の清浄の色、此れを身入と謂う。
是れ見るべき色、此れを色入と謂う。是れ有対の声、是れを声入と謂う。是れ有対の香、此れを香入と謂う。是れ有対の味、此れを味入と謂う。
是れ女性、是れ女根なり。是れ男性、是れ男根なり。是れ随いて業の所成の色を守護す。此れを命根と謂う。是れ身を以て諸行を現さしむ、行と名づく。此れを身作と謂う。是れ口を以て諸行を現さしむ、行と名づく。此れを口作と謂う。
是れ色の分別、此れを虚空界と謂う。是れ色の軽性、此れを色軽と謂う。是れ色の軽性、此れを色軟と謂う。是れ色の堪受持の性、此れを色堪受持と謂う。此の三種、是れ身の懈怠せざる性なり。
是の諸入の聚、此れを色聚と謂う。是の色の聚、此れを色の相続と謂う。是の色をして起こさしむ、此れを色の生と謂う。是れ色をして熟せしむ、此れを色の老と謂う。是の色の敗壊、謂わく色の無常なり。
気味を以て衆生、立つを得。此れを気味の揣食と謂う。色、界に依り及び意識界起こる。此れを界処の色と謂う。是の諸界の懈怠、此れを睡眠の色と謂う。
此の二十六の所造の色及び四大、三十色を成す。
問う、四大及び四大の所造の色、云何が差別ある。
答う、四大は四大に依りて共に生ず。四大の所造の色は四大に依りて生ず。四大の所造の色は四大の所依に非ず。亦た四大の所造の色の所依にも非ず。三杖の倚るを得るが如し。是の如く四大、知るべし。三杖の影の倚るが如し。是の如く四大の所造の色、知るべし。此れを差別と謂う。
是に於いて坐禅人、此の三十色、五行を以て所勝を知るべし。是の如く起こすを以て、聚を以て、生を以て、種種を以て、一を以てす。
問う、云何が起こすを以てする。
答う、九色、業の因縁の所起なり。謂わく、眼入・耳入・鼻入・舌入・身入・女根・男根・命根・処色なり。
二色、心の因縁の所起なり。謂わく、身作・口作なり。
一色、時節・心の所起なり。謂わく、声入なり。
四色、時・心・食の因縁の所起なり。謂わく、色軽・色軟・色堪受持・眠色なり。
十二色、四因縁の所起なり。謂わく、色入・香入・味入・虚空界・色聚・色相続色・色生・揣食・四界なり。
二色、所起有ること無し。謂わく、色老・色無常なり。
復た次に、生、老に縁たり。老、無常に縁たり。是の如く起こすを以て、所勝、知るべし。
問う、云何が聚を以てする。
答う、九聚、業の所起なり。九聚、心の所起なり。六聚、時節の所起なり。三聚、食の所起なり。
問う、云何が九聚の業の所起なる。
答う、謂わく、眼十・耳十・鼻十・舌十・身十・女根十・男根十・処十・命根九なり。
問う、云何が眼十と名づくる。
答う、眼の清浄と四界と、是れ其の処なり。復た四界の色・香・味・触・命根に依る。眼清浄、此の十法、共に生じて相い離れず。此れを聚と謂う。是れを眼十と謂う。此れ起こる、是れ生なり。此れ熟す、老と謂う。此れ壊す、是れ無常なり。此れ分別す、是れ虚空界なり。此の四法、彼の聚と共に起こる。
此の眼の十に依りて、老の時、第二の眼十を生ず。彼の二種の十聚、此れを聚と謂う。彼に随い逐う、此れを相続と謂う。此の六法、彼と共に起こる。
彼、復た第二の眼十、老に依る時、第三の眼十を生ず。是の第二及び第三の眼十、此れを聚と謂う。唯だ彼の法に随い逐う。此れを相続と謂う。
初めの十、散壊す。第二の十、老す。第三の十、起こる。彼、一刹那を成す。是の如く起こる所の眼十、彼の間、知るべからず。刹那の軽速の故に、世間に現れて知ること無し。彼の坐禅人有り、眼の相続を見る。江の流れの如く、灯焔の相続の如し。此れを眼十と謂う。
是の如く耳十・鼻十・舌十・身十・女根十・男根十・命根九、広を以て知るべし。
問う、云何が九聚の心の所起なる。
答う、清浄八の義なり。清浄と身作と九なり。清浄と口作と七なり。清浄と軽と九なり。軽と身作と十なり。軽と口作と十一なり。清浄と眼と九なり。眼と身作と十なり。眼と口作と十一なり。
問う、云何が清浄八の心の所起と名づくる。
答う、四界、界に依る。色・香・味・触、此の八法、共に生じて相い離れず。彼の十、是れを清浄八と名づく。彼起こる、是れ生なり。彼熟す、是れ老なり。彼壊す、是れ無常なり。彼分別す、是れ虚空界なり。此の四法、彼に随いて起こる。
彼の清浄八、壊の時に於いて、第二の心と共に起こる。第二の清浄八なり。初めの清浄、壊す。第二の清浄、起こる。一刹那に於いて起こる。此れ展転して聚を為すに非ず。三所起の所聚を以てすが故に。
是の如く清浄と軽と九、及び清浄と眼と九。六作の聚、初めの壊に非ず。第二の起に非ず。一刹那無し。何が故に、一心に二作せず。余を起こさしむること、初めに説くが如し。
問う、云何が六聚の時節の所起なる。
答う、清浄八。清浄と声と九。清浄と軽と九。軽と声と十。清浄と眼と九。眼と声と十。外の聚、二を成す。清浄八及び声九なり。
問う、云何が三聚の食の所起なる。
答う、清浄八。清浄と軽と九。清浄と眼と九なり。時節と食との所起の聚の相続、業の処、相似なること、知るべし。余は初めに説くが如し。
命九天の聚、欲界に於いて、業の処に於いて所成す。八聚、寿命を以て活く。鼻・舌・身・男女根、是の如し。軽等の三及び眠。此れ色界に於いては、命九天の聚無し。無想梵天、其の身に於いて一切入す。是を以て活くを得。是の如く聚を以てす。
問う、云何が生を以てする。
答う、男女、胎に入る如き、刹那に於いて、三十色起こる。謂わく、処十・身十・或いは女根十・或いは男根十なり。不男不女は二十色起こる。謂わく、処十・身十なり。
欲界の化生、根を満たして、男女に入る。生の刹那に於いて、七十色起こる。謂わく、処十・身十・眼十・耳十・鼻十・舌十・或いは女根十・或いは男根十なり。
或いは悪趣の化生、生盲の女人・男人、其の生の刹那に於いて、六十色起こる。眼十を除く。是の如く聾人を生ずれば、六十色起こる。耳十を除く。生盲聾の人は、五十色起こる。眼十・耳十を除く。
悪趣の化生、根を満たし、或いは男に非ず、或いは女に非ず、及び劫初の人、其の生の刹那に於いて、六十色起こる。男女根を除く。
彼の盲及び非男非女、五十色起こる。眼根十を除く。非男非女根を除く。或いは聾にして非男非女、亦た五十色起こる。耳十及び非男非女根を除く。或いは盲聾にして非男非女は、四十色起こる。処十・身十・鼻十・舌十なり。
梵天、其の生の刹那に於いて、四十九色起こる。処十・眼十・耳十・身十・命根九なり。
無想天の衆生、其の生の刹那に於いて、九色起こる。命根九なり。
是の如く生を以て知るべし。
問う、云何が種種を以てする。
答う、一切の色、二種を成す。謂わく、大と細となり。是に於いて、十二色大なり。内外の色入、有対の義を以てす。余の十八色細なり。無対の義を以てす。
復た二種の色あり。謂わく、内と外となり。是に於いて、五色、内を成す。眼等の五入、境界有るの義を以てす。余の二十五は外色なり。境界無きの義を以てす。
復た二種の色有り。命根と不命根となり。是に於いて、八色を根と名づく。五内と女根・男根・命根、依の義を以てす。余の二十二は非命根なり。無依の義を以てす。
一切の色、三種を成す。謂わく、受色・非受色・有壊色なり。是に於いて、九色有受なり。八根及び処色、業報の所成の義を以てす。九色不受なり。声入・身作・口作・色軽・色軟・色堪受持・老色・無常及び眠、業報の所成に非ざるの義なり。余の十二色有壊なり。彼、二種の義を以てす。
復た三種の色有り。謂わく、可見有対・非可見有対・不可見無対なり。是に於いて、一色可見有対、謂わく色入なり。見の義を以て、触の義を以てす。十一色不可見有対なり。色入を除く余の大色、見ざるの義を以て、触の義を以てす。十八色不可見無対なり。余の細色、不可見の義、不可触の義なり。
一切の色、四種を成す。謂わく、自性色・形色・相色・分別色なり。是に於いて、十九自性の色、余の十二、大色・女根・男根・命根・水界・揣食・処色・眠色、畢竟の義を以てす。七形色、謂わく、身作・口作・色軽・色軟・色堪受持・受色・相続、自性の色、変を以てす。三相色、色生・色老・色無常、有為相の義を以てす。一色分別色、謂わく虚空界、聚の分別の義を以てす。
是に於いて、自性の色、彼、分別を成す。余は分別無し。是の如く種種を以て分別す。
問う、云何が一種を以て当に分別すべき。
答う、一切の色は、因に非ず、無因に非ず。因と相応せず。有縁・有為・世の所摂・有漏・有縛・有結・有流・有厄・有蓋・所触・有趣・煩悩有り。無記・無事・心数に非ず。心と相応せず。小・欲界繋・不定・乗に非ず。楽と共に起こらず。苦と共に起こらず。不苦不楽と共に起こる。聚ならしめず、聚ならしめざるに非ず。学に非ず、非学に非ず。見の所断に非ず。思惟の所断に非ず。
是の如く一種を以て、所勝、知るべし。
此れを色陰と謂う
問う、云何が受陰なる。
答う、相を以てすれば一受なり。彼の心の受持を以て一を成す。
処に由れば二受なり。謂わく、身受・意受なり。
自性に由れば三受なり。楽受・苦受・不苦不楽受なり。
法に由れば四受なり。善受・不善受・報受・事受なり。
根に由れば五受なり。楽根・苦根・喜根・憂根・捨根なり。
黒白に由れば六受なり。有漏楽受・無漏楽受・有漏苦受・無漏苦受・有漏不苦不楽受・無漏不苦不楽受なり。
門に由れば七受なり。眼触より生ずる受、耳触より生ずる受、鼻触より生ずる受、舌触より生ずる受、身触より生ずる受、意界触より生ずる受、意識界触より生ずる受なり。
広を以てすれば、一百八受を成す。六の愛に依りて起こる受、六の出離に依りて起こる受、六の愛憂に依りて起こる受、六の出離憂に依りて起こる受、六の愛捨に依りて起こる受、六の出離捨に依りて起こる受。此の六六、三十六を成す。三時に於いて三三十六なり。
此れを受陰と謂う
問う、云何が想陰なる。
答う、想を以てすれば一相なり。心を以て事を知る。
黒白に由れば二相なり。謂わく、顛倒想・不顛倒想なり。
不善に由れば三想なり。謂わく、欲想・瞋恚想・害想なり。
善に由れば三想なり。謂わく、出離想・不瞋恚想・不害想なり。
義の性の処の門を知らざるに由れば四想なり。謂わく、不浄を浄想とす。苦に於いて楽想とす。無常に於いて常想とす。無我に於いて我想とす。
義の性の処を知るに由れば四想なり。不浄想・苦想・無常想・無我想なり。
毘尼に由れば五想なり。不浄に於いて浄想とす。不浄に於いて不浄想とす。浄に於いて不浄想とす。浄に於いて浄想とす。疑想なり。
事に由れば六想なり。色想・声想・香想・味想・触想・法想なり。
門に由れば七想なり。眼触より生ずる想、耳触より生ずる想、鼻触より生ずる想、舌触より生ずる想、身触より生ずる想、意界触より生ずる想、意識界触より生ずる想なり。
是の如く種種の想、知るべし。
此れを想陰と謂う
問う、云何が行陰なる。
答う、触・思・覚・観・喜・心・精進・念・定・慧・命根・蓋・不貪・不瞋・慚・愧・猗・欲・解脱・捨・作意・貪・瞋恚・無明・慢・見・調・戯・疑・懈怠・無慚・無愧。受・想を除く一切の心数法、行陰なり。
是に於いて、触とは、是れ心の触事なり。日光の壁に触るるが如し。是れ其の想の処なり。
思とは、是れ心の動なり。宅を作す足の種法の如し。是れ其の事門の足処なり。
覚とは、是れ口行なり。心を以て経を誦するが如し。是れ彼の想の足処なり。
観とは、是れ心の観事なり。思に随いて義するが如し。是れ其の覚の足処なり。
喜とは、是れ心の歓喜なり。人の物を得るが如し。是れ其の踊躍の足処なり。
心とは、是れ心清きこと、呪もて水を清からしむるが如し。彼の四須陀洹分の足処なり。
精進とは、是れ心の勇猛なり。壮牛の重きに堪うるが如し。彼の八事処の足処なり。
念とは、是れ心の守護なり。油鉢を持するが如し。彼の四念処の足処なり。
定とは、是れ心の専一なり。殿裏の灯の如し。彼の四禅の足処なり。
慧とは、是れ心の見なり。人の眼有るが如し。彼の四聖諦の足処なり。
命根とは、是れ無色の法、是れ寿命なり。欝波羅の水の如し。彼の名色の足処なり。
蓋とは、是れ心の悪を止め離るるなり。人の命を楽いて毒を離るるが如し。彼の四禅行の足処なり。
不貪とは、是れ心の著を捨つるなり。責を脱するを得たるが如し。彼の離出の足処なり。
不瞋とは、是れ心の瞋怒せざるなり。猫の皮の如し。彼の四無量の足処なり。
慚とは、是れ心の羞恥なり。悪を作すに於いて、屎尿を憎悪するが如し。彼の自身に依る足処なり。
愧とは、是れ心の作悪に於いて畏るるなり。官長を畏るるが如し。彼の世に依る足処なり。
猗とは、是れ心の動搖の滅なり。夏熱の人、冷水もて洗浴するが如し。彼の喜の足処なり。
欲とは、善を作すを楽うなり。信ある檀越有るが如し。彼の四如意足の足処なり。
解脱とは、是れ心の屈曲なり。水の深処に流るるが如し。彼の覚観の足処なり。
捨とは、是れ心の去来せざるなり。人の称を執るが如し。彼の精進等の足処なり。
作意とは、是れ心をして法則を起こさしむるなり。人の施を執るが如し。彼の善不善の足処なり。
貪とは、是れ心の摂受なり。我鳥の如し。彼の愛すべく楽しむべき色の足処なり。
瞋恚とは、是れ心の踊躍なり。瞋れる毒蛇の如し。彼の十瞋恚処の足処なり。
無明とは、是れ心の見る所無きなり。盲人の如し。彼の四顛倒の足処なり。
慢とは、是れ心の挙ぐるなり。共に相撲するが如し。彼の三種の足処なり。
見とは、是れ心の取執なり。盲人の象を摸するが如し。彼の他より声を聞き、不正に憶する足処なり。
調とは、是れ心の寂寂ならざるなり。猶お沸く水の如し。彼の速精進の足処なり。
悔とは、是れ心の退なり。不浄を愛するが如し。彼、悪善を作すを以て退の足処なり。
疑とは、是れ心の一に取執せざるなり。人の遠国を行くに、或いは二道に於いてするが如し。彼の正しからざる作意の足処なり。
懈怠とは、是れ心の懶墮なり。蛇の蟄を藏むるが如し。彼の八懶処の足処なり。
無慚とは、是れ心の作悪に於いて羞恥無きなり。栴陀羅人の如し。彼の不恭敬の足処なり。
無愧とは、是れ心の作悪に於いて畏るること無きなり。悪王の如し。彼の六不恭敬の足処なり。
此れを行陰と謂う
問う、云何が識陰なる。
答う、眼識・耳識・鼻識・舌識・身識・意界・意識界なり。
是に於いて、眼識とは、眼に依り、色を縁じて識を生ず。是れを眼識と謂う。
耳識とは、耳に依り、声を縁じて識を生ず。是れを耳識と謂う。
鼻識とは、鼻に依り、香を縁じて識を生ず。是れを鼻識と謂う。
舌識とは、舌に依り、味を縁じて識を生ず。是れを舌識と謂う。
身識とは、身に依り、触を縁じて識を生ず。是れを身識と謂う。
意界とは、処の五事に依り、二事に依る。五識、若し前後次第に識を生ず。此れを意界と謂う。
意識界とは、此の六識を除く余の心なり。此れを意識界と謂う。
此の七識、三行を以て所勝を知るべし。是の如く、処事を以て、事を以て、法を以てす。
問う、云何が処事を以てする。
答う、五識は種種の処、種種の事なり。意界及び意識界は、一処なり。意界は五事なり。意識界は六事なり。
五識は、内法・内処・外事なり。意界は、内法・外処・外事なり。意識界は、内法・外処・内事、亦た外事なり。
六識は、初めて処を生ず。初めて事を生ず。意識界、入の体の刹那に於いて共に処を生ず。初めに処を以て生ず。無色に於いて処無く、一切の事なり。
是の如く処事を以て知るべし。
問う、云何が事を以てする。
答う、五識、一一に其の境界を受く。一一に次第に生ぜず。前ならず後ならず生ぜず。散じて起こらず。
五識を以て、所有の法を知らず。初起を除く。意界を以て、所有の法を知らず。意転を除く。六識を以て、威儀を安んぜず。迅速を以て之を安んず。六識を以て、身業・口業を受持せず。六識を以て、善不善の法を受けず。迅速を以て之を受く。六識を以て、定に入らず、安詳に起こらず。迅速を以て定に入る。後分を以て安詳なり。六識を以て、終せず生ぜず。或いは後分を以てす。或いは彼の事を以て終す。果報の意識界を以て生ず。六識を以て、眠らず覚めず夢を見ず。後分を以て眠る。転意を以て覚む。迅速を以て夢見る。
是の如く事を以て知るべし。
問う、云何が法を以てする。
答う、五識、覚有り観有り。意界、覚有り観有り。意識界、設い覚有り観有るとも、設い覚無く観少なし。設い覚無く観無し。
五識、捨と共に行ず。身識、設い楽と共に行ず。設い苦と共に行ず。意識界、設い喜と共に行ず。設い憂と共に行ず。設い捨と共に行ず。
五識、果報なり。意界、設い果報、設い方便なり。意識界、設い善、設い不善、設い果報、設い方便なり。
六識、因無く起こること無し。世間の法、有漏・有結・有縛・有流・有厄・有蓋・所触・有取・煩悩有り。見の所断を以てせず。思惟の所断を以てせず。聚を為すに非ず、非聚を為すに非ず。学に非ず、非学に非ず。小、欲界に繋がる。不定、乗に非ず。意識界、一切壊す。
是の如く法の勝を以て知るべし。
此れを識陰と謂う。此れを五陰と謂う
復た次に、此の五陰、四行を以て所勝を知るべし。是の如く、句義を以て、相を以て、分別を以て、摂を以てす。
問う、云何が句義を以てする。
答う、色とは現の義なり。受とは受くべき義なり。想とは知の義なり。行とは作の義なり。識とは解の義なり。陰とは種類の集の義なり。
是の如く句義を以て知るべし。
問う、云何が想を以てする。
答う、色とは自らの色相なり。刺を見るが如し。彼の四大の足処なり。
受とは彼の受相なり。癩の悪病の如し。彼の触の足処なり。
想とは持相を相と為す。像貌を作すが如し。彼の触の足処なり。
行とは和合を相と為す。輪を転ずるが如し。彼の触の足処なり。
識とは知相と謂う。味を知るが如し。彼の名色の足処なり。
是の如く相を以て知るべし。
問う、云何が分別を以てする。
答う、三種の陰の分別あり。五陰・五受陰・五法陰なり。
是に於いて、五陰とは、一切の有為法なり。五受陰とは、一切の有漏法なり。五法陰とは、戒陰・定陰・慧陰・解脱陰・解脱知見陰なり。此の五受陰に於いて、是れ楽しむべきなり。
是の如く分別を以て知るべし。
問う、云何が攝を以てする。
答う、三種の摂あり。入の摂・界の摂・諦の摂なり。
是に於いて、色陰は十一入の所摂なり。三陰は法入の所摂なり。識陰は意入の所摂なり。
色陰は十一界の所摂なり。三陰は法界の所摂なり。識陰は七界の所摂なり。
戒陰・定陰・慧陰・解脱知見陰は、法入及び法界の所摂なり。解脱陰は、法入及び意入、及び法界・意識界の所摂なり。
五陰、或いは諦の所摂、或いは諦の所摂に非ず。五受陰は苦諦及び習諦の所摂なり。戒陰・定陰・慧陰は道諦の所摂なり。解脱陰は諦の所摂に非ず。解脱知見陰は苦諦の所摂なり。
有る法、是れ陰の所摂にして、諦の所摂に非ず。有る法、是れ諦の所摂にして、陰の所摂に非ず。有る法、是れ陰の所摂、亦た諦の所摂なり。有る法、陰の所摂に非ず、亦た諦の所摂に非ず。
是に於いて、非根の所縛の色、及び道と相応する、沙門果、是れ陰の所摂にして、諦の所摂に非ず。泥洹は、是れ諦の所摂にして、陰の所摂に非ず。三諦は、是れ陰の所摂、亦た諦の所摂なり。制とは、陰の所摂に非ず、亦た諦の所摂に非ず。
是の如く行を以て、陰に於いて分別の方便を知る。
此れを陰方便と謂う。陰方便已に竟る
(続く。入方便・界方便・因縁方便が続きますが、非常に長いため、ここで一区切りとします。続きが必要でしたらお申し付けください)
入方便
問う、云何が入方便なる。
答う、十二入なり。眼入・色入、耳入・声入、鼻入・香入、舌入・味入、身入・触入、意入・法入なり。
是に於いて、眼入とは、是れ界清浄なり。是を以て色を見る。
色入とは、界の色形摸なり。是れ眼の境界なり。
耳入とは、是れ界清浄なり。是を以て声を聞く。
声入とは、是れ界の鳴なり。耳の境界なり。
鼻入とは、是れ界清浄なり。是を以て香を嗅ぐ。
香入とは、界の香なり。鼻の境界なり。
舌入とは、是れ界清浄なり。是を以て味を知る。
味入とは、是れ界の気味なり。舌の境界なり。
身入とは、是れ界清浄なり。是を以て細滑を触る。
触入とは、是れ地界・水界・火界・風界なり。堅・軟・冷・煖、身の境界なり。
意入とは、是れ七識界なり。
法入とは、是れ三無色陰及び十八の細色及び泥洹なり。
此れを十二入と謂う。
復た次に、此の十二入、五行を以て所勝を知るべし。是の如く、句義を以て、境界を以て、縁を以て、彼の夾、勝心の起こるを以て、摂を以てす。
問う、云何が句義を以てする。
答う、眼とは見の義なり。色とは現の義なり。耳とは聞の義なり。声とは鳴の義なり。鼻とは嗅の義なり。香とは芳の義なり。舌とは嘗むる義なり。味とは気味を義と為す。身とは正しく持つ義なり。触とは触るべき義なり。意とは知の義なり。法とは無命の義なり。入とは無色法の門の義なり。処の義、受持の義なり。
是の如く句義を以て知るべし。
問う、云何が境界を以てする。
答う、眼・耳は境界に至らず。鼻・舌・身は境界に至る。意は倶に境界なり。
復た説有り。耳は境界に至る。何が故に、唯だ近き障り有れば声を聞かず。呪術を説くが如し。
復た説く、眼は其の自らの境界に於いて境界に至る。何が故に、壁外を見ず。
是の如く境界を以て知るべし。
問う、云何が縁を以てする。
答う、眼・色・光・作意を縁じて、眼識を生ず。
是に於いて、眼は眼識の為に、四縁を以て縁を成す。初生の依、根有りて縁なり。色は三縁を以て縁を成す。初生の事、有りて縁なり。光は三縁を以て縁を成す。初生の依、有りて縁なり。作意は二縁を以て縁を成す。次第の非有縁なり。
耳・声・空・作意を縁じて、耳識を生ずるを得。此の分別を以て当に分別すべし。
鼻・香・風・作意を縁じて、鼻識を生ずるを得。
舌・味・水・作意を縁じて、舌識を生ずるを得。
身・触・作意を縁じて、身識を生ずるを得。
意・法・解脱・作意を縁じて、意識を生ずるを得。
是に於いて、意は後分の心なり。法は法の事なり。此れ四種を成す。
六内入、過去・現在・未来、第一種なり。
五外入、過去・未来・現在、入の根を離除す。是れ第二種なり。
法入、第三種なり。
十一種の制名は、謂わく衆生・方・時・犯罪・頭陀・一切相・無所有入・定事・滅禅定・実思惟・不実思惟なり。是れ第四種なり。
此れを法の事と謂う。専心は心の随の如きなり。作意は意門に転ずる意なり。識は速心なり。
是に於いて、意は意識の為に、依縁を以て縁を成す。法は事縁を以て縁を成す。解脱は依縁を以て縁を成す。作意は二縁を以て縁を成す。次第縁、有縁なり。
是の如く縁を以て知るべし。
問う、云何が夾、勝心の起こるを以てする。
眼門に於いて三種を成す。夾の上・中・下を除く。
是に於いて、上の事、夾を以て七心を成す。無間に阿毘地獄を生ず。有分心より、転心、所受心、分別心、令起心、速心、彼事心なり。
是に於いて、有分心とは、是れ此の有に於いて根心なり。糸を牽くが如し。
転心とは、眼門に於いて色の事、夾の縁の故に、縁を以て諸界を展転す。依処の有分心、起こるを成す。有分心の次第、彼、色の事を見るを為して、転を成して転心を生ず。
転心の次第、眼に依りて応に転ずべし。現に見るを得て見心を生ず。
見心の次第、已に見て心を以てす。現に受を受けて受心を生ず。
受心の次第、受の義を以てす。現に分別を分別して分別心を生ず。
分別心の次第、分別の義を以てす。現に令起を起こして令起心を生ず。
令起心の次第、令起の義を以て、業心に由りて速く行く。
速行心の次第、速行の義を以て、方便を以てせず、彼の事の果報心を生ず。
彼より更に有分心を度す。
問う、何の譬喩ぞ。
答う、王の殿上に城門を閉じて臥するが如し。傴女、王の足を摩す。夫人坐す。大臣及び直閣、列して王の前に在り。聾人、門を守り、城門に依りて住す。時に園を守る人、菴羅の果を取りて門を打つ。王、声を聞きて覚む。王、傴女に勅す。「汝、当に門を開くべし」と。傴女、即ち命を奉じ、相貌を以て聾人に語りて言う。聾人、意を解し、即ち城門を開く。菴羅の菓を見る。王、刀を捉る。女、菓を受けて将入し、大臣に現す。大臣、授けて夫人に与う。夫人、洗い浄む。或いは熟し或いは生なり。各一処に安んず。然る後、王に奉る。王、之を食するを得。食し已りて即ち彼の功徳・非功徳を説く。還って復た更に眠る。
是の如く、王の臥するが如し。有分心の如く知るべし。
園を守る人、菴羅の菓を取りて門を打つが如し。是の如く眼門に於いて色の事の夾、知るべし。
王、彼の声を聞き、王覚めて、傴女に教えて門を開かしむるが如し。是の如く縁を以て諸界を展転す。依処の有分心の起こる、知るべし。
傴女、相貌を以て聾人に教えて門を開かしむるが如し。是の如く転心、知るべし。
聾人、門を開きて菴羅の菓を見るが如し。是の如く眼識、知るべし。
刀を捉る女、彼の菓を受けて将いて大臣に現すが如し。是の如く受持心、知るべし。
大臣、菓を取りて夫人に授けて与うるが如し。是の如く分別心、知るべし。
夫人、洗い浄む。或いは熟し或いは生、各一処に安んじ、然る後、王に与うるが如し。是の如く令起心、知るべし。
王、彼の菓を食うが如し。是の如く速心、知るべし。
王、食し已りて彼の功徳・非功徳の利を説くが如し。是の如く彼の事の果報心、知るべし。
王、更に眠るが如し。是の如く有分心の度する、知るべし。
是に於いて、眼門に於いて、中の事の夾を以てすれば、速心、無間に彼の有心を度す。
夾の下の事を以てすれば、令起心、無間に有分心を度す。
是の如く余の門に於いても知るべし。
意門に於いては、事の夾無し。作意の縁を以て、解脱の行を以てす。意門に於いて事を取るを成す。
是に於いて、上の事に於いては、三心生ず。有分心・転心・速心・彼事心なり。
中及び下の事に於いては、二心生ず。転心及び速心なり。
是に於いて、愛すべき、愛すべからざる中の事、種種の縁を以て、種種の受、知るべし。正作意・非正作意を以て、縁の種種の善不善、知るべし。
是の如く彼の夾、勝心の起こる、知るべし。
問う、云何が摂を以てする。
答う、三種の摂あり。陰の摂・界の摂・諦の摂なり。
是に於いて、十入は色陰の所摂なり。意入は識陰の所摂なり。法入は、泥洹を除き、四陰の所摂なり。
十一入は十一界の所摂なり。意入は七界の所摂なり。
五内入は苦諦の所摂なり。五外入は、或いは苦諦の所摂、或いは苦諦の所摂に非ず。意入は、或いは苦諦の所摂、或いは苦諦の所摂に非ず。法入は、或いは四諦の所摂、或いは苦諦の所摂に非ず。
是の如く摂を知るべし。
是の如く此の行を以て、入に於いて智をして方便を起こさしむ。
此れを入方便と謂う。入方便已に竟る
界方便
問う、云何が界方便なる。
答う、十八界なり。眼界・色界・眼識界、耳界・声界・耳識界、鼻界・香界・鼻識界、舌界・味界・舌識界、身界・触界・身識界、意界・法界・意識界なり。
是に於いて、眼の清浄、眼界なり。色形、色界なり。眼の識、眼識界なり。
是の如く余、知るべし。
五門に転ずる事に於いて、意界、果報を受く。意界、唯だ法入なり。法界、六識界を除く。余の心、意識界なり。
余は入の如く広く説く。
是に於いて、十界は色陰の所摂なり。法界は、泥洹を除き、四陰の所摂なり。七界は識陰の所摂なり。
十一界は十一入の所摂なり。七界は意入の所摂なり。
十一界は苦諦の所摂なり。五界は、或いは苦諦の所摂、或いは諦の所摂に非ず。法界は四諦の所摂、或いは諦の所摂に非ず。意識界は、或いは苦諦の所摂、或いは諦の所摂に非ず。
問う、云何が化の境界を説く。
答う、唯だ此の法の陰・入・界、境界を為す。諸の法の種類の和合の相を説きて陰と為す。門の相を説きて入と為す。自性の相を説きて界と為す。
復た次に、世尊、利根の人の為に、陰門を以て苦諦を説く。中根の人の為に、入門を以て苦諦を説く。鈍根の人の為に、界門を以て苦諦を説く。
復た次に、名に著する相の人に於いて、略して色を説き、名を分別して陰を説く。色に著する相の人の為に、色を分別し、略して名を説きて入を説く。名色に著する相の人に於いて、名色を分別して界を説く。
復た次に、自性の処を説きて陰を説く。処事を説きて入を説く。処事の心の起こるを説きて界を説く。
是の如き等の行を以て、界の分別の方便とす。
此れを界方便と謂う。界方便已に竟る
因縁方便
問う、云何が因縁方便なる。
答う、無明は行に縁たり。行は識に縁たり。識は名色に縁たり。名色は六入に縁たり。六入は触に縁たり。触は受に縁たり。受は愛に縁たり。愛は取に縁たり。取は有に縁たり。有は生に縁たり。生は老死に縁たり。老死・憂・悲・苦・悩なり。是の如く皆な苦陰起こる。
唯だ無明の滅を以て、則ち行滅す。行の滅を以て、則ち識滅す。識の滅を以て、則ち名色滅す。名色の滅を以て、則ち六入滅す。六入の滅を以て、則ち触滅す。触の滅を以て、則ち受滅す。受の滅を以て、則ち愛滅す。愛の滅を以て、則ち取滅す。取の滅を以て、則ち有滅す。有の滅を以て、則ち生滅す。生の滅を以て、則ち老死・憂・悲・苦・悩滅す。是の如く苦陰、皆な滅を成す。
是に於いて、無明とは、四諦を知らざるなり。
行とは、身・口・意の業なり。
識とは、胎に入る一念の心、識と名づく。
名色とは、共に相続する心の起こる心数法、及び迦羅邏の色なり。
六入とは、六内入なり。
触とは、六触身なり。
受とは、六受身なり。
愛とは、六愛身なり。
取とは、四取なり。
有とは、是の業、能く欲・色・無色の有を起こす。
生とは、有に於いて陰の起こるなり。
老とは、陰の熟するなり。
死とは、陰の散壊するなり。
問う、何が故に無明は行に縁たる。何が故に生は老死に縁たる。
答う、此に於いて無間の凡夫、四諦に於いて知らざるが故に、五受陰を長夜に楽著して我が物とす。彼の所触を成す。此れ我が物、此れ我が身と。是の如く楽著の楽有り。和合して有を為すに思惟す。彼の思惟、智の所処に非ざらしむ。有を得るを為して、有に住するを成す。種の耕熟せる田に在るが如し。彼の識無くんば、有の滅を為す。此れを無明は行に縁たりと謂う。
彼の無明の所起の行、思いて有に入り、有の相の事に著して聚を成すを為す。転有に於いて相続を起こす。識、有に於いて心に随いて断ぜず。是の故に、行は識に縁たり。
日を除きて光明無きが如し。地に住して増長す。是の如く識を除きて名色無し。体無きに住して増長す。荻の相い倚り、展転して相い依るが如し。是の故に、識は名色に縁たり。
依処の余の名、共に生起す。意入、増長して名に依る。四大を命じ、及び食の時、余の五入を縁じて起こりて増長す。余に此の縁無し。是の故に、名色は六入に縁たり。
余の根の境界、識、和合して触を起こす。是の故に、六入は触に縁たり。
触を以て受く。或いは苦、或いは楽、或いは不苦不楽なり。触る所に非ず。是の故に、触は受に縁たり。
癡の凡夫、受けて楽しみて著を成す。復た更に受を覓む。苦なれば、彼の対治、楽を覓む。若し不苦不楽を受くれば、捨を受く。是の故に、受は愛に縁たり。
渇愛を以て、急に愛の処を取る。是の故に、愛は取に縁たり。
彼の取有り、事を作して有の種を為す。是の故に、取は有に縁たり。
業の所勝の如きを以て、諸趣に生ず。是の故に、有は生に縁たり。
生を以て老死を成す。是の故に、生は老死に縁たり。
穀の種の縁と為るが如し。是の如く無明は行に縁たり、知るべし。
種の牙の縁と為るが如し。是の如く行は識に縁たり、知るべし。
牙の葉の縁と為るが如し。是の如く識は名色に縁たり、知るべし。
葉の枝の縁と為るが如し。是の如く名色は六入に縁たり、知るべし。
枝の樹の縁と為るが如し。是の如く六入は触に縁たり、知るべし。
樹の花の縁と為るが如し。是の如く触は受に縁たり、知るべし。
花の汁の縁と為るが如し。是の如く受は愛に縁たり、知るべし。
汁の米の縁と為るが如し。是の如く愛は取に縁たり、知るべし。
米の種の縁と為るが如し。是の如く取は有に縁たり、知るべし。
種の牙の縁と為るが如し。有、是の如き縁の生、知るべし。
是の如く起こりて種種の相続す。是の如く前際、知るべからず。後際も亦た知るべからず。
是の如く生、無明を初めと為し、因縁の相続す。其の前際、知るべからず。後際も亦た知るべからず。
問う、無明、何に縁たる。
答う、唯だ無明、無明の縁を為す。使、纒の縁を為し、纒、使の縁を為す。初、初を為し、後、後を為す。
復た次に、一切の諸煩悩、無明の縁を成す。仏の所説の如し。漏の集より無明の集起こる。
復た次に、一心の法の如し。眼を以て色を見る。癡人、愛を起こす。此の時、浄楽なる者の心、癡なり。此れを無明と謂う。著を思う、是れ無明の縁の行なり。心、著す、此れ行の縁の識なり。相応の心数法を知る、及び彼の所造の色、是れ識の縁の名色なり。受より喜を生ず。喜を縁ずるが故に、色を喜び縁ずるが故に、諸根清浄なり。是れ名色の縁の六入なり。無明の触、是れ六入の縁の触なり。喜の触の縁の受の欲なり。愛を受く、著を以て浄楽を取る。是れ愛の縁の取なり。著を以て思う、是れ取の縁の有なり。彼の法の起こる、是れ有の縁の生なり。住し已る、是れ老なり。念の散壊する、是れ死なり。
是の如く一刹那に於いて、十二因縁を成す。
問う、彼の十二因縁、幾を分ちて煩悩と名づく、幾を業と名づく、幾を果報と名づく、幾を過去と名づく、幾を未来と名づく、幾を現在と名づく、幾を因縁と名づく、幾を已起と名づく。云何が因縁なる。云何が因縁法なる。此の二、何の差別ぞ。何の因縁の染性ぞ。
答う、三の煩悩なり。無明・愛・取なり。二の業なり。行・有なり。余の七は果報なり。
是に於いて、煩悩と名づくるは、有の後生の因を成すを為す。画師の色の如し。其の事、自ら生ぜず。画師の色の事の如し。煩悩をして、有を起こさしむ。縁を得て生ずるを得。種種の色の如し。
二は過去なり。無明及び行なり。二は未来なり。生・老死なり。余の八は現在なり。
是の如く三時を取りて、無始の生死の相続、知るべし。
十二分の因縁とは、応に説くべからず。十二因縁を除きて、亦た応に説くべからず。
爾の時、云何が因縁なる。此の十二法、次第の如く展転して因なるが故に、此れを因縁起と謂う。十二因縁の分、已起の法なり。
此の二、何の差別ぞ。因縁とは、諸行異なり。成就せず、説くべからず。或いは有為、或いは無為なり。応に説くべからず。因縁法を起こすを以て、行、已に成就し、有為なり。此の二法の差別なり。
何の因縁の染性ぞ。是の行を以て、是の相を以て、無明行を成す。彼の行、彼の相、彼の性を縁ず。彼の聖人、他に縁ぜず。慧を以て明らかに通達す。是の如く一切、此れを因縁の染性と謂う。
復た次に、此の因縁、七行を以て知るべし。是の如く、三節を以て、四略を以て、二十行を以て、輪を以て、牽を以て、分別を以て、相摂を以てす。
云何が三節を以てする。諸行及び識、其の間、第一節なり。受及び愛、彼の間、第二節なり。有及び生、彼の間、第三節なり。
過去に於いて、業と煩悩とを以て、現在の果報に縁たる。是れ第一節なり。
現在の果報を以て、現在の煩悩に縁たる。第二節なり。
現在の煩悩を以て、未来の果報に縁たる。第三節なり。
第一及び第三は、因果の節、及び有の節なり。第二節は、果因の節、有の節に非ず。
有の節とは何の義ぞ。
答う、終、無間に陰・入・界を度せず。初めの業・煩悩の縁の故を以て、諸趣に於いて更に生有り。此れを有生の節と謂う。
問う、云何が成る。
答う、彼、無明・愛と相応する、功徳を造るを以て、悪業の凡夫なり。彼、此の時に於いて、死と謂う。死を以て苦を受く。臥して死人の処に置く。此の世を見ず。彼の世を見ず。念を失いて念を得ず。是の時、生の苦を受く。意念の智、退を成す。身の勇猛、退を成す。諸根、漸漸に失う。身より、或いは上、或いは下、命根失い、燥失う。多羅の葉の燥くが如し。
此の時に於いて、眠の夢の如し。四法を以て起こる。業・業相・趣・趣相なり。
云何が業なる。是れ其の所造なり。或いは功徳、或いは非功徳なり。或いは重、或いは軽、或いは多、或いは少なり。近き其の初めの所造の如し。彼の業、即ち起こる。
業相とは、彼の処、業を造るに依る所、彼の処、即ち起こる。業の伴侶、業相起こる。彼、時に於いて、或いは業を作すを現すが如し。
趣とは、功徳の縁を以て、善趣起こる。非功徳の縁を以て、悪趣起こる。
趣相と名づくるは、胎に入る時、三事和合して生を得。化生は、処処に依りて生ず。是れ其の所生の処起こる。或いは宮殿、或いは坐処、或いは山、或いは樹、或いは江なり。其の趣に随い、及び共に相を取りて起こる。彼、此の時に於いて、彼に往く。或いは倚り、或いは坐し、或いは臥す。彼を見て、或いは取る。彼、此の時に於いて、初めの所造の業、及び業相、或いは趣、及び趣相、事を作すに、速心を以て現起して滅す。命終に去る速心、無間に、命根と共に滅して終を成す。
終心、無間の次第、速心を以て起こる。唯だ彼の業、或いは彼の業相、或いは趣、或いは相を取る。事を作す果報心の処、後有に度す。灯の灯を燃すが如し。火珠より火を出だすが如し。彼の節心の起こるが故に、伴侶の如し。
母の腹に於いて、父母の不浄に依る。三十色、業の所成、起こるを成す。処と身と十有り。彼、老の刹那に於いて、心無く、節を過ぐ。四十六色、起こるを成す。業の所造の三十、食節の所成、二色、及び八、心無く、節の色を過ぐ。老の刹那に於いて、第二の心と共にす。五十四色、起こるを成す。業の所成の三十、食の時の所成、三色、及び八。是の如く起こる。
識、名色に縁たり。名色、識に縁たり。是の如く有の節を成す。
是に於いて、三節を成す、知るべし。
問う、云何が四略を以てする。
答う、無明・行、過去の業・煩悩に於いて略す。
識・名色・六入・触・受、現在の果報に於いて略す。
愛・取・有、現在の業・煩悩に於いて略す。
生・老死、未来の果報に於いて略す。
是の如く四略を以て知るべし。
問う、云何が二十行を以てする。
答う、無明を取れば、過去の愛及び取、煩悩の相を以て、所取を成す。
行を取れば、過去の有、業の相を以て、所取を成す。
識・名色・六入・触・受を取れば、現在、果報の相を以て、生及び老死、所取を成す。
愛・取を取れば、現在、煩悩の相を以て、所取を成す。
有を取れば、現在の行、業の相を以て、所取を成す。
生・老死を取れば、未来の識・名色・六入・触・受、所取を成す。
此の二十四法、其の成就を取りて二十を成す。阿毘曇に説く所の如し。
初めの業に於いて、癡有り、是れ無明なり。聚は是れ行なり。著は是れ愛なり。覓は是れ取なり。思は是れ有なり。此の五法、此の生に於いて有なり。初めの所作の業、是れ其の縁なり。了せず、識に入る。癡は是れ無明なり。聚は是れ行なり。著は是れ愛なり。覓は是れ取なり。思は是れ有なり。此の五法、此の業に於いて有り。未来の生の時の縁を為す。
未来の生の時、識度す。是れ名色なり。清浄、是れ入なり。所触、是れ触なり。取、是れ受なり。此の二法、未来の生に於いて有り。此に於いて作す所の業、是れ其の縁なり。
是の如く二十行を以て知るべし。
云何が輪を以てする。無明は行に縁たり、行は識に縁たり。乃ち生は老死に縁たるに至る。是の如く皆な苦陰起こる。此の皆な苦陰に於いて知ること無し。此れを無明と謂う。無明は行に縁たる。復た是の如し。
輪を以て知るべし。
云何が牽を以てする。二の牽なり。謂わく、無明の所初、及び老死の所初なり。
是に於いて、問う、云何が無明の所初なる。
答う、是れ次第を説く。
云何が老死の所初なる。是れ次第を度す。
復た次に、無明の所初、是れ有の辺際面、未来を知る道なり。老死の所初は、初めの辺際面、過去を知る道なり。
是の如く牽を以て知るべし。
問う、云何が分別を以てする。
答う、二種の因縁あり。世間の因縁、及び出世の因縁なり。
是に於いて、無明の所初、是れ世の因縁なり。
問う、云何が出世の因縁なる。
答う、苦、苦に依る。信、信に依る。喜、喜に依る。踊躍、踊躍に依る。倚、倚に依る。楽、楽に依る。定、定に依る。如実知見、如実知見に依る。厭患、厭患に依る。無欲、無欲に依る。解脱、解脱に依る。滅智なり。此れを出世の因縁と謂う。
復た説く、四種の因縁あり。業・煩悩を因と為す。種を因と為す。有作なり。共業を因と為す。
問う、云何が業・煩悩を因と為す。
答う、無明の所初なり。
云何が種を因と為す。種の牙の相続の如し。
云何が有作なる。化の色の如し。
云何が共業を因と為す。地・雪山・海・日月の如し。
復た説有り。此の共業の因に非ず。是の諸の色・心法、時節を因と為す。共業有ること無し。世尊の偈を説くが如し。
業は他と共にせず 是の蔵、他偸まず 人の作す所の功徳 其れ自ら善報を得
是の如く分別、知るべし。
問う、云何が相摂を以てする。
答う、四種の相摂あり。陰の相摂・入の相摂・界の相摂・諦の相摂なり。
是に於いて、無明・行・触・愛・取・有は行陰の所摂なり。識は識陰の所摂なり。名色は四陰の所摂なり。六入は二陰の所摂なり。受は受陰の所摂なり。生・老死は色陰の所摂、及び行陰の所摂なり。
無明・行・触・受・愛・取・有・生・老死は法入の所摂なり。識は意入の所摂なり。名色は五内入の所摂なり。六入は六内入の所摂なり。
無明・行・触・受・愛・取・有・生・老死は法界の所摂なり。識は意識界の所摂なり。名色は五界の所摂なり。六入は十二諦の所摂なり。
無明・愛・取は十諦の所摂なり。余の九は苦諦の所摂なり。
出世の因縁の道分は道諦の所摂なり。因縁の滅は滅諦の所摂なり。
是の如く相摂を以て知るべし。
是の如く行を以て、因縁の方便、知るべし。
此れを因縁方便と謂う。因縁方便已に竟る
解脱道論 巻第十
以上で解脱道論巻第十の書き下し文が完成いたしました。
『解脱道論』巻第十(五方便品第十一之一)の、陰(五蘊)・入(十二処)・界(十八界)・因縁(十二縁起)に関する記述です。 原文の文字はそのままに、問答の区切りや論理展開に合わせて改行・段落分けを行い、読みやすく整理しました。
目次
解脱道論卷第十
阿羅漢優波底沙(梁言大光)造 梁扶南三藏僧伽婆羅譯
五方便品第十一之一
於是初坐禪人樂脱老死。樂除生死因。樂除無明闇。樂斷愛繩。樂得聖慧。於五處當起方便。 所謂陰方便、入方便、界方便、因縁方便、聖諦方便。
【陰方便(五蘊)】
問: 云何陰方便。 答: 五陰。色陰、受陰、想陰、行陰、識陰。
1. 色陰 問: 云何色陰。 答: 四大、四大所造色。
- 四大:
- 云何四大: 地界、水界、火界、風界。
- 云何地界: 堅性堅相。此謂地界。
- 云何水界: 水濕和合色。此謂水界。
- 云何火界: 火煖熟色。此謂火界。
- 云何風界: 風持色。此謂風界。
- 初坐禪人以二行取諸蓋。以略以廣如説觀四大。如是可知。
- 四大所造色:
- 定義: 眼入、耳入、鼻入、舌入、身入。色入、聲入、香入、味入。女根、男根、命根。身作、口作。虚空界色。輕色、軟色、堪受持色。増長色、相續色、生色、老色、無常。揣食處色。眠色。
- 五根:
- 眼入: 以是見色有對。依彼眼識起。此謂眼入。復次依眼睛肉揣白黒眼珠三圓。於肉血風痰唾、五重内住。如半芥子。大如蟣子頭。初業所成。四大所造火大最多。此清淨色。謂爲眼入。如大徳舍利弗所説:以眼識清淨見諸色。或小或微。如牖柯喩。
- 耳入: 以是聞聲。於是聲有對。依耳識起。此謂耳入。復次於二孔赤毛爲邊。依膜住如青豆莖。初業所造空大最多。四大所造清淨色。此謂耳入。
- 鼻入: 以是聞香。於是香有對。依鼻識起。此謂鼻入。復次於鼻孔中三和合依細孔住。如拘毘陀羅形。初業所造風大最多。四大所造清淨色。此謂鼻入。
- 舌入: 以是知味。於是味有對。依舌識起。此謂舌入。復次於舌肉上。兩指大住。如鬱波羅花形。初業所造水大最多。四大所造清淨色。此謂舌入。
- 身入: 以是覺觸。於是觸有對。依身識起。此謂身入。復次除毛髮爪齒。所餘不受。於一切受身。初業所造地大最多。四大所造清淨色。此謂身入。
- 五境・その他:
- 是可見色、此謂色入。是有對聲、是謂聲入。是有對香、此謂香入。是有對味、此謂味入。
- 是女性是女根。是男性是男根。
- 是隨守護業所成色、此謂命根。
- 是以身令現諸行名行、此謂身作。是以口令現諸行名行、此謂口作。
- 是色分別、此謂虚空界。
- 是色輕性、此謂色輕。是色軟性、此謂色軟。是色堪受持性、此謂色堪受持。此三種是身不懈怠性。
- 是諸入聚、此謂色聚。是色聚、此謂色相續。是色令起、此謂色生。是令色熟、此謂色老。是色敗壞、所謂色無常。
- 以氣味衆生得立、此謂氣味揣食。
- 色依界及意識界起、此謂界處色。
- 是諸界懈怠、此謂睡眠色。
- 総数: 此二十六所造色。及四大。成三十色。
- 四大と造色の差別:
- 問: 四大及四大所造色。云何差別。
- 答: 四大依四大共生。四大所造色依四大生。四大所造色非四大所依。亦非四大所造色所依。如三杖得倚、如是四大可知。如三杖影倚、如是四大所造色可知。此謂差別。
- 修行の観点(五行):
- 於是坐禪人此三十色。以五行可知所勝。如是以令起、以聚、以生、以種種、以一。
- 1. 以令起: 九色業因縁所起(五根・男女根・命根・處)。二色心因縁所起(身作・口作)。一色時節心所起(聲入)。四色時心食因縁所起(輕・軟・堪受持・眠)。十二色四因縁所起(四境・空・聚・相續・生・揣食・四界)。二色無有所起(老・無常)。生縁老、老縁無常。
- 2. 以聚: 九聚業所起。九聚心所起。六聚時節所起。三聚食所起。
- 九聚業所起: 眼十、耳十、鼻十、舌十、身十、女根十、男根十、處十、命根九。(眼十=眼根・四界・四境・命根)
- 九聚心所起: 清淨八義(四界・四境)、清淨身作九、清淨口作七、清淨輕九、輕身作十、輕口作十一、清淨眼九、眼身作十、眼口作十一。
- 六聚時節所起: 清淨八、清淨聲九、清淨輕九、輕聲十、清淨眼九、眼聲十。
- 三聚食所起: 清淨八、清淨輕九、清淨眼九。
- 命九天聚: 欲界、色界、無想天における命根の聚について。
- 3. 以生: 如男女入胎。於刹那生三十色起(處十、身十、性根十)。欲界化生、悪趣、梵天、無想天などの生刹那における色の数。
- 4. 以種種: 大細、内外、命根不命根、三種(受・不受・有壞)、三種(可見有對・不可見有對・不可見無對)、四種(自性・形・相・分別)。
- 5. 以一: 一切色非因非無因。因不相應。有縁有爲。世所攝。有漏有縛。有結有流。有厄有蓋。所觸有趣。有煩惱無記無事。非心數心不相應。小欲界繋不定非乘。不與樂共起。不與苦共起。不苦不樂共起。不令聚非不令聚非學非非學。非見所斷。非思惟所斷。如是以一種所勝可知。 此謂色陰。
2. 受陰 問: 云何受陰。 答:
- 一受: 以相一受。以彼心受持成一。
- 二受: 由處二受。所謂身受意受。
- 三受: 由自性三受。樂受苦受不苦不樂受。
- 四受: 由法四受。善受不善受報受事受。
- 五受: 由根五受。樂根苦根喜根憂根捨根。
- 六受: 由黒白六受。有漏樂受。無漏樂受。有漏苦受。無漏苦受。有漏不苦不樂受。無漏不苦不樂受。
- 七受: 由門七受。從眼觸生受~從意識界觸生受。
- 百八受: 依愛/出離 × 憂/喜/捨 × 過去/現在/未来 = 三十六。於三時三三十六。 此謂受陰。
3. 想陰 問: 云何想陰。 答:
- 一相: 以想一相以心知事。
- 二相: 以黒白二相。謂顛倒想、不顛倒想。
- 三想: 以由不善三想(欲・恚・害)。以由善三想(出離・不恚・不害)。
- 四想: 以不知義性處門四想(常・楽・我・浄)。以由知義性處四想(無常・苦・無我・不浄)。
- 五想: 以由毘尼五想(不浄浄想など、疑想)。
- 六想: 以由事六想(色想~法想)。
- 七想: 以由門七想(眼觸生想~意識界觸生想)。 如是種種想可知。此謂想陰。
4. 行陰 問: 云何行陰。 答: 觸、思、覺、觀、喜、心、精進、念、定、慧、命根、蓋、不貪、不瞋、慚、愧、猗、欲、解脱、捨、作意、貪、瞋恚、無明、慢、見、調、戲、疑、懈怠、無慚、無愧。除受想一切心數法行陰。
- 各心所の定義と譬喩:
- 觸(心觸事、如日光觸壁)
- 思(心動、如作宅足種法)
- 覺(口行、如以心誦經)
- 觀(心觀事、如隨思義)
- 喜(心歡喜、如人得物)
- 心(心清、如呪令水清)
- 精進(心勇猛、如壯牛堪重)
- 念(心守護、如持油鉢)
- 定(心專一、如殿裏燈)
- 慧(心見、如人有眼)
- 命根(無色法是壽命、如欝波羅水)
- 蓋(心惡止離、如人樂命離毒)
- 不貪(心捨著、如得脱責)
- 不瞋(心不瞋怒、如猫皮)
- 慚(心羞恥、如憎惡屎尿)
- 愧(心畏作惡、如畏官長)
- 猗(心動搖滅、如夏熱人冷水洗浴)
- 欲(樂作善、如有信檀越)
- 解脱(心屈曲、如水流深處)
- 捨(心不去來、如人執稱)
- 作意(心令起法則、如人執施)
- 貪(心攝受、如我鳥)
- 瞋恚(心踊躍、如瞋毒蛇)
- 無明(心無所見、如盲人)
- 慢(心擧、如共相撲)
- 見(心取執、如盲人摸象)
- 調(心不寂寂、猶如沸水)
- 悔(心退、如愛不淨)
- 疑(心不一取執、如人行遠國或於二道)
- 懈怠(心懶墮、如蛇藏蟄)
- 無慚(心無羞恥、如栴陀羅人)
- 無愧(心無畏、如惡王) 此謂行陰。
5. 識陰 問: 云何識陰。 答: 眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意界、意識界。
- 定義: 依六根縁六境生六識。意界(依五事依二事、五識若前後次第生識)。意識界(除此六識、餘心)。
- 三行所勝: 以處事、以事、以法。
- 以處事: 五識(種種處種種事)、意界(一處五事)、意識界(一處六事)。内法内處外事、など。
- 以事: 五識(受境界、不次第生)、意界(不知所有法、除意轉)、六識(不安威儀、迅速安之、不受善不善、迅速受之、不入定、迅速入定等)。果報意识界生、転意覚、迅速夢見。
- 以法: 五識(有覺有觀、與捨共行/樂/苦)、意界(有覺有觀)、意識界(設有覺有觀/無覺少觀/無覺無觀、設與喜/憂/捨共行)。六識無因無起、世間法有漏等。 此謂識陰。
五陰総括:
- 四行所勝: 以句義、以相、以分別、以攝。
- 以句義: 色(現)、受(可受)、想(知)、行(作)、識(解)、陰(種類集)。
- 以相: 色(自色相如見刺)、受(如癩惡病)、想(持相如作像貌)、行(和合如轉輪)、識(知相如知味)。
- 以分別: 五陰、五受陰、五法陰(戒・定・慧・解脱・解脱知見)。
- 以攝: 三種攝(入攝、界攝、諦攝)。色陰十一入/十一界/苦諦所攝,など。 此謂陰方便。
陰方便已竟
【入方便(十二処)】
問: 云何入方便。 答: 十二入。眼入、色入、耳入、聲入、鼻入、香入、舌入、味入、身入、觸入、意入、法入。
- 定義: 眼入(界清淨以是見色)、色入(界色形摸是眼境界)など。意入(七識界)、法入(三無色陰及十八細色及泥洹)。
- 五行所勝: 以句義、以境界、以縁、以彼夾勝心起、以攝。
- 以句義: 眼(見)、色(現)、耳(聞)、聲(鳴)など。入(無色法門、處、受持)。
- 以境界: 眼耳不至境界。鼻舌身至境界。意倶境界。
- 以縁: 眼識(四縁:根、色、光、作意)、耳識(空、作意)、鼻識(風)、舌識(水)、身識(作意)、意識(依、事、解脱、作意)。
- 以彼夾勝心起:
- 眼門(七心): 有分心、轉心、見心、受心、分別心、令起心、速心、彼事心。
- 譬喩(王殿): 如王臥(有分心)、守園人打門(色事夾)、王覺(有分心起)、傴女開門(轉心)、聾人見果(眼識)、女受果(受持心)、大臣取果(分別心)、夫人洗淨(令起心)、王食果(速心)、説功徳(彼事果報心)。
- 意門: 無事夾。有分心、轉心、速心、彼事心。
- 以攝: 三種攝(陰攝、界攝、諦攝)。十入色陰所攝、意入識陰所攝、法入除泥洹四陰所攝。
入方便已竟
【界方便(十八界)】
問: 云何界方便。 答: 十八界。眼界、色界、眼識界~意界、法界、意識界。
- 定義: 眼清淨眼界、色形色界、眼識眼識界。意界受果報。
- 相攝: 十界色陰所攝、法界除泥洹四陰所攝、七界識陰所攝。十一界苦諦所攝、法界四諦所攝。
- 教化の対象:
- 利根人:陰門(苦諦)
- 中根人:入門
- 鈍根人:界門
- 名著相人:陰
- 著色相人:入
- 名色著相人:界
界方便已竟
【因縁方便(十二縁起)】
問: 云何因縁方便。 答: 無明縁行、行縁識、識縁名色、名色縁六入、六入縁觸、觸縁受、受縁愛、愛縁取、取縁有、有縁生、生縁老死憂悲苦惱。
- 逆観: 無明滅則行滅…。
- 定義:
- 無明: 不知四諦。
- 行: 身口意業。
- 識: 入胎一念心。
- 名色: 共相續心起心數法及迦羅邏色。
- 六入: 六内入。
- 觸: 六觸身。
- 受: 六受身。
- 愛: 六愛身。
- 取: 四取。
- 有: 業能起欲色無色有。
- 生: 於有陰起。
- 老: 陰熟。
- 死: 陰散壞。
- 縁起の解説と譬喩:
- 無明縁行: 凡夫不知四諦、楽著五受陰、思惟造業。如種在耕熟田。
- 行縁識: 行思入有、識於有隨心非斷。
- 識縁名色: 如除日無光明。如荻相猗展轉相依。
- 名色縁六入: 依名命四大及食時縁餘五入起増長。
- 譬喩(植物): 種(無明)→ 芽(行)→ 葉(識)→ 枝(名色)→ 樹(六入)→ 花(觸)→ 汁(受)→ 米(愛)→ 種(取)→ 芽(有・生)。
- 三時・二際: 前際不可知、後際亦不可知。
問: 無明何縁。 答: 唯無明爲無明縁。使爲纒縁、纒爲使縁。一切諸煩惱成無明縁(漏集起無明集)。
- 一刹那の十二縁起: 一心法において、眼見色~老死までが一刹那に成る説。
分別:
- 煩惱・業・果報:
- 三煩惱: 無明、愛、取。
- 二業: 行、有。
- 七果報: 識、名色、六入、觸、受、生、老死。
- 三時: 二過去(無明・行)、二未來(生・老死)、八現在。
因縁の七行: 以三節、以四略、以二十行、以輪、以牽、以分別、以相攝。
- 以三節: 行/識(第一節)、受/愛(第二節)、有/生(第三節)。
- 以四略: 過去業煩惱(無明行)、現在果報(識~受)、現在業煩惱(愛取有)、未來果報(生老死)。
- 以二十行: 過去五因(無明愛取行有)→ 現在五果(識名色六入觸受)。現在五因(無明愛取行有)→ 未來五果(識名色六入觸受)。
- 以輪: 無明縁行… 如輪回転。
- 以牽: 無明所初(知未來)、老死所初(知過去)。
- 以分別: 世間因縁、出世因縁(苦依苦、信依信… 滅智)。四種因縁(業煩惱、種、有作、共業)。
- 以相攝: 四種相攝(陰攝、界攝、諦攝)。無明行等行陰所攝、など。
因縁方便已竟
解脱道論卷第十 終


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