小品般若経 巻第四⑥ 悪魔は断絶を得ず 

目次
今回の位置/語注/書き下し/現代語の要約/ポイント 伺求すれども得ず/つまずきやすい所/次回

今回の位置

⑤は、舎利弗の譬喩から入り、無處所行にして行ず、是の故に久行、で切った。留難と悪魔には入っていない。

⑥は、その次の須菩提の口から入る。般若は甚深、珍寶の聚、虚空の清浄の如し。留難多く、書写せんと欲せば当に疾く成すべし。仏が印し、珍寶の法には怨賊多し、と置く。須菩提が、悪魔は常に伺求して断絶せんと欲す、と言い、仏が、得ること能わず、と返す。舎利弗が、誰の神力か、と問う。仏神力、十方現在の諸仏の神力、諸仏の護念。法として留難有るべからず。誦して通利す、で切る。

仏眼の所見と流布には入らない。脅しにも守護の商品にもしない。珍寶を財宝の商品にしない。経を売る文にしない。有料は記事の置き方である。定義の注釈からは入らない。

読む範囲は、「般若波羅蜜甚深。般若波羅蜜是珍寶聚」から、「當知是菩薩佛護念故、能誦通利」まで。

語注

珍寶聚(ちんほうじゅ) — 珍寶の聚。虚空の清浄の如し、と続きます。集めて持つ宝ではありません。

清浄(しょうじょう) — 虚空の清浄の如し。③と同じ字です。①②の浄・浄故とは分けたまま置きます。清浄を一段深い所有にしません。

留難(るなん) — 妨げ。般若は留難を起すこと多し、と置かれます。③にも出た語です。ここは、書写せんと欲せば疾く成せ、に続きます。

怨賊(おんぞく) — 珍寶の法には怨賊多し。宝があるから敵が付く、という所有の話にしません。

悪魔(あくま) — 常に伺求して断絶せんと欲す。脅しの主人公にしません。

伺求(しぐ) — うかがい求める。得ず、と返ります。

断絶(だんぜつ) — 断ち絶つ。能わず。

護念(ごねん) — 諸仏皆な共に是の菩薩を護念す。守りを売る語にしません。法として留難無し、と続きます。

得便(とくべん) — 便を得る。悪魔は得便すること能わず。

通利(つうり) — 誦して通じ利なり。仏の護念故に、と置かれます。力を自分の所有にしません。

書き下し

「世尊、般若波羅蜜は甚深なり。般若波羅蜜は是れ珍寶の聚、虚空の清浄なるが如し。希有なるかな世尊、般若波羅蜜は留難を起すこと多し。若し書写せんと欲する者は、乃至一歳、当に疾く書き成すべし」と。

仏言わく、「是の如し是の如し、須菩提。若し善男子善女人、書写し読誦し、所説の如く般若波羅蜜を行ぜんと欲せば、乃至一歳、当に疾疾に之を為すべし。須菩提、珍寶の法には怨賊多し」と。

▼ここから有料

「世尊、般若波羅蜜は、悪魔常に伺求して断絶せんと欲す」と。

「須菩提、悪魔、伺求して断絶せんと欲すと雖も、また得ること能わず」と。

舎利弗、仏に白して言わく、「世尊、誰の神力故に、悪魔、般若波羅蜜を留難すること能わざる」と。

「舎利弗、仏神力故に、悪魔、留難すること能わず。舎利弗、また是れ十方無量世界の現在の諸仏の神力故に、悪魔、留難すること能わず。諸仏皆な共に是の菩薩を護念するが故に、悪魔、便を得ること能わず。何を以ての故に。舎利弗、菩薩、諸仏の護する所と為る者は、法として留難有るべからず。何を以ての故に。舎利弗、若し人、般若波羅蜜を書写し読誦し説かば、十方無量阿僧祇の現在の諸仏、法として応に護念すべし。若し般若波羅蜜を誦する有らば、当に知るべし、是の菩薩は仏の護念するが故に、能く誦して通利す」と。

現代語の要約

須菩提が言います。般若は甚深である。珍寶の聚で、虚空の清浄の如し。留難が起こることが多い。書写せんと欲せば、一歳に至るまでも、疾く書き成せ。

仏が印します。所説の如く行ぜんと欲せば、疾疾に為せ。珍寶の法には怨賊が多い。

須菩提が言います。悪魔は常に伺求して断絶しようとする。

仏が返します。欲すと雖も、得ること能わず。

舎利弗が、誰の神力か、と問います。

仏神力である。十方無量世界の現在の諸仏の神力でもある。諸仏が共に是の菩薩を護念するが故に、悪魔は便を得ない。諸仏の護する所と為る者は、法として留難が無い。書写し読誦し説けば、現在の諸仏は法として護念する。誦する者は、仏の護念故に、能く誦して通利する。

ポイント 伺求すれども得ず

⑥で一番取り違えやすいのは、悪魔を先に立てて、守りを売ることです。

経の順は逆です。先に珍寶の聚、虚空の清浄の如し、がある。留難が多い。だから疾く書け。怨賊が多い。そのあとに、悪魔は伺求して断絶せんと欲す、と出る。返しは、得ること能わず、です。

誰の神力か、と問われて、仏神力、十方現在の諸仏の神力、諸仏の護念、と返ります。

護念は、保険の商品ではありません。菩薩、諸仏の護する所と為る者は、法として留難有るべからず。法応に、です。人の契約ではない。

通利も、自分の力が増えた印ではありません。仏の護念するが故に、能く誦して通利す。力を手元に残さない。

③の留難、⑤の怨賊を畏れず、を、ここで恐怖の段にしない。脅して書写させない。守護を売らない。福は認める。出所へ戻す。

つまずきやすい所

「珍寶聚」を、集める宝、と読まない。
虚空の清浄の如し、と続きます。③の虚空、①の浄の側です。清浄を一段深い所有にしない。

「当疾書成」を、急がせの命令、と売らない。
留難多いが故に、疾疾に為せ、です。経を売る文にしない。

「怨賊多し」を、敵が来る、と先に脅かさない。
珍寶の法には怨賊多し、の一句です。賊を主人公にしない。

「惡魔常欲伺求斷絶」を、魔の物語に膨らませない。
伺求すれども得ず、が返しです。

「佛神力」「諸佛護念」を、守りを買う、と読まない。
法として留難有るべからず、です。守護の商品にしない。

「能誦通利」を、上達の効き目、と持たない。
仏の護念故に、です。

仏眼の所見、南方西方北方の流布は、次回である。
無我に開かない。非我の定義も足さない。「中道にして」の語は、この範囲にありません。定義は動かしません。

次回

⑦ 小品般若経 巻第四⑦ 求めずして得、法応に爾るべし 無料
仏眼の所見。南方より西方へ、西方より北方へ流布す。後の五百歳。少なきを認める。求めて得る者も、求めずして得る者も、如来は悉く知る。巻第四の結び。


タグ:小品般若経/小品般若波羅蜜経/巻第四/不可思議品/留難/悪魔/護念/経典解説

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